ドミナント戦略とは

ドミナント戦略とは

ドミナント戦略とは、特定の地域に集中的に投資することにより、占有率や知名度を競合よりも優位に立つ戦略のことを指します。ドミナントとは、支配的、優勢、もっとも有力なという意味を持っている言葉で小売業や飲食店などの実店舗に用いられる戦略です。コンビニでは同じエリアに同じチェーンのコンビニが多く並んでいることがあります。これがドミナント戦略になります。

 

ドミナント戦略のメリット

ドミナント戦略のメリットは、

・認知度の向上

・エリアマーケティングの最適化

・参入障壁になる

・経営資源を有効活用できる

・配送の効率化

です。1つずつ詳しく解説していきます。

 

認知度の向上

ある特定の地域に同じ看板をもっている店舗を複数展開することでその地位での認知度を高めることができます。立ち上げたばかりのブランドや企業の認知度は低いですが特定の地域に集中することでそのエリア内での認知度の向上が期待できます。その後、展開エリアを拡大することで地方、全国単位でのブランドや企業の認知度の向上を目指すことも可能になります。認知度が向上することで顧客に安心感や信頼感を与えることもでき、利用機会が増えることで利益を向上させることにも期待ができます。

 

エリアマーケティングの最適化

小売店や飲食店などの実店舗で有効なマーケティング手法の中にエリアマーケティングがあります。エリアマーケティングは利用顧客の年齢層や性別、収入帯やライフスタイルなど細分化されたデータを分析し、店舗運営や業務に反映させる手法でドミナント戦略は特定の地域に集中して店舗を展開することでエリアマーケティングに必要なデータを収集しやすいというメリットがあります。展開するエリアの範囲もそこまで広くないので地域性などに考慮した最適なエリアマーケティングを展開できるところもメリットです。

 

参入障壁になる

ドミナント戦略を成功させることで特定の地域における同業他社の参入を防ぎ、優位性を継続することができるというメリットがあります。ドミナント戦略で知名度や占有率が高まることで特定のエリアでの顧客を囲い込むことができます。同業他社が進出を検討しているエリアを囲い込むことで進出ハードルを高めることができ、その地域の進出を諦めるという可能性も高めることができます。

 

在庫を有効活用できる

ドミナント戦略では同社の店舗同士が近距離になります。そのため、人員や在庫などの移動を柔軟にすることができます。ある店舗の利用顧客や売上に応じて人員や在庫を移動させることで機会損失を防ぐこともでき、人員コストや在庫管理コストを抑えることにも期待ができます。

 

配送の効率化

小売店や飲食店などの実店舗では、販売する商品を発注し、配送拠点から商品を発送し、受け取ることになります。ドミナント戦略では特定の地域に複数の店舗があるので1回の配送で複数の店舗へ商品を届けることが可能になります。そのため、トラックドライバーの人員不足の解消や配送コストの削減、商品の品質改善などのメリットがあります。

 

ドミナント戦略のデメリット

ドミナント戦略のデメリットは、

・環境によるリスクがある

・シェアを奪い合ってしまう

・新規エリアにノウハウを活かしにくい

1つずつ詳しく解説していきます。

 

環境によるリスクがある

特定のエリアで集中的に店舗を展開します。そのため、環境の変化によって売上が変動してしまうというリスクがあります。災害や地域の高齢化によっての人口減少などが起きてしまうと売上が落ちてしまいます。

 

シェアを奪い合ってしまう

ドミナント戦略では特定のエリアで集中的に店舗を出店します。そのため、自社で顧客を奪い合うということに繋がってしまうというデメリットがあります。

 

新規エリアにノウハウを活かしにくい

ドミナント戦略がある地域で成功した時には事業拡大のために新規エリアへの出店を行うところも多いです。しかし、既存店舗の運営で培ってきたノウハウやデータは新規エリアで活かしにくいというデメリットがあります。特定の地域に依存している部分が多く、新規エリアでノウハウやデータが活かせない時があるのでその場合は、ランチェスター戦略に切り替えるなど柔軟性が必要です。