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ホームページに掲載される文章は、ユーザーにとって優しくなければなりません。具体的には、以下のような働きを持つ文章が要求されます。
【ホームページの文章に求められること】
Web制作における文章は日記などの書き方と大きく異なるため、予備知識なしでの執筆は困難です。書き始める前に機能的な文章を書くコツを知っておきましょう。
Webに適した文章をホームページに取り入れると、さまざまなメリットがあります。一方でWebに適していない文章にはデメリットがあり、かえってサイトに訪れたユーザーを遠ざけてしまいかねません。Webサイト向けの文章を学ぶことで、集客できるサイトに仕上がるのだと心得ておきましょう。
Webに適した文章は、サイトを閲覧したユーザーをリピーターに変えられます。
Web向けになっていない一般的な文章では、ユーザーに分かりにくい・回りくどいと感じられてしまいます。結果として不快感を引き起こし、「用があってもこのサイトは閲覧したくない」と避けられてしまうのです。特に新規ユーザーは閲覧するかどうかの判断が早く、見づらいと感じればすぐにサイトから出て行きます。
サイトにおいて読みやすい文章は、閲覧したユーザーにストレスを与えません。それがユーザーをリピーターへと変化させる第一歩です。
ホームページ閲覧者にとって優れた文章は、情報をスムーズにかつ漏らさず伝達できます。
文章に余計な情報を入れたり、必要な情報が抜けているとユーザーのストレスに繋がります。しかし一方で、ユーザーの知りたいことを伝えるだけでは不十分です。管理者として伝えておくべき情報も、同時に織り込んで上手く伝達しなければなりません。
文章にそのような機能を持たせるには、無駄がなく、その上で短く分かりやすいことが求められます。
Webサイト上で読みやすい文章は、ユーザーが見たいコンテンツだけでなく、他のコンテンツも読もうという気を起こさせます。
ユーザーが現在閲覧している商品から、次の商品へ誘導する。あるいはオウンドメディアに適用し、潜在的なユーザーを購買ユーザーに変化させるなどの効果が期待できるのです。
誘導されてさまざまなページを閲覧したユーザーは、しだいに信頼の先が商品から企業へと移っていきます。そして、最終的には優良な顧客となるでしょう。
Webサイト向けの文章を書くには、以下に記載するコツを踏まえて文章を組み立てなくてはなりません。
【Webサイトにおける文章の書き方】
たくさんあるように感じるかもしれませんが、すべて重要なことです。面倒と感じても、おろそかにせず文章に取り入れましょう。
なお、より分かりやすくするために、本記事ではコツの解説に加えて例文も記載します。併せて参考にしてください。
重要なことやもっとも伝えたいことは、文章の一番最初に書いてください。先に過程を説明し、後に結論を書く方が綺麗なように思われますが、Webサイトにおいてそのような書き方はNGです。
ホームページを閲覧するユーザーの目的は、文章を読むことではなく欲しい情報を得るためです。そのため読みたい部分(結論)が早く出てこなければ、ストレスを感じてホームページを去ってしまいます。
一方でユーザーは結論を確認すると、次に「なぜこの結論に至るのか?」という情報を求めます。結果として続きを読み進めるため、結論→説明という順番が最適になるのです。説明の文章でも重要度の高い情報を先にすると、よりユーザーにとって読みやすくなります。
以下は例文です。
【例文:結論を最初に】
NG | そもそも私は、一人暮らしを寂しいと感じていた。何か解決策は無いかと考えた結果、友人のことを思い出した。同様の悩みを解消するため、金魚を飼い始めたと言っていたのだ。
よって私は、猫を飼うことに決めた。 |
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OK | 猫を飼うことにした。一人暮らしの寂しさを解消したかったのだ。
友人も金魚を飼うことで、寂しさが消えたと言っていた。猫を飼えば、私の悩みも消えるだろう。 |
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上記のOK例は、単に結論を最初に置くだけでなく、PREP法と言う方法で記載されています。PREP法とは結論→説明→具体例→結論の順に書く方法です。以下に、上記の例とPREP法の関係を記載します。
【例文とPREP法の関係】
内容 | 例文 | 情報について |
結論 | 猫を飼うことにした。 |
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説明 | 一人暮らしの寂しさを解消したかったのだ。 |
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事例 | 友人も金魚を飼うことで、寂しさが消えたと言っていた。 |
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結論 | 猫を飼えば、私の悩みも消えるだろう。 |
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どうしてもPREP法が難しいという場合でも、結論を最初に書くことは守りましょう。最初の一文で新規ユーザーを逃していては、集客に繋がりません。
文章を書く際は、主語と述語をはっきりさせましょう。主語とは文章において、動作を起こすものを指し、「~は/が」が続く言葉です。一方、述語は動作の内容を示します。
まずは以下の例文を見てください。
【例文①:主語と述語をはっきりと】
例文:私は立った。
主語→私
述語→立った
上記の例文は主語と述語しかないため分かりやすく、大抵の人が理解できます。しかし実際に文章を書くと、主語と述語があいまいになっていく場合があります。
以下の例文を見てください。
【例文②:主語と述語をはっきりと】
NG | 私は行きたかったコンサートの出演者はピアニストのAさんだ。 |
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OK | 私はコンサートに行きたかった。コンサートの出演者は、ピアニストのAさんだ。 |
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長い文章になると修飾語などが入り、主語と述語を見失いやすくなります。上記のような失敗を防ぐためには、ひとつの文章に多くの情報を詰め込みすぎないことです。文章を適度に区切り、整理して書いていきましょう。
指示語を多用すると、考えながら文章を読むことになるためユーザーのストレスに繋がります。指示語とはいわゆる、こそあど言葉のことです。「この」「そっち」「あれ」などはすべて指示語です。
ユーザーは指示語を見ると、指示語で示されている部分を探します。探さなければ、続きを読めないためです。結果として何度も前述の文章を読み直すことになり、ユーザーは読む気を失くします。
以下が例文です。
【例文:指示語を多用しない】
NG | 遅くまで作業するよりも、早く起きた方が良い。【それ】はわかるが、【これ】を実践するためには、【その】準備として早く眠らなければいけない。 |
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OK | 遅くまで作業するよりも、早く起きた方が良いというのはもっともな意見だ。
しかし実践するためには、準備として早く眠らなければいけない。 |
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上記のOK例はNG例の「それはわかる」の部分を、「もっともな意見だ」という肯定に修正しています。その上で前述の文に付け加えることで、自然に「それは」という指示語を省略しています。続くNG例の「これ・その」はすべて削除して、文章をすっきりさせています。
上記のように多くの指示語は、省略や言い換えが可能です。削除できる部分は削除しましょう。
また、使用する場合は指示語と指示の先をできるだけ近づけてください。さかのぼって読む量が減るため、ユーザーのストレスを低減できます。
文章内ではできるだけ抽象的・主観的な表現を避け、具体的で客観性のある言葉を選んでください。特に意識するべきは、量や程度などを表す言葉です。
代表的な頻出語彙と言い換えを以下にまとめます。
【頻出語彙と言い換え】
抽象表現 | 言い換え |
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「多い・少ない」などの言葉は、書いている側にとっては便利な言葉です。しかしユーザーにとっては「どのくらい」という部分がわからず、あまり参考にならないと感じるケースがあります。
また、「非常に」「普通」などの表現も要注意です。「非常に○○」「普通は××」などの表現は書いている人間の感想であり、ユーザーの共感を得られない場合もあります。できるかぎり避けた方が無難ですが、どうしても使用する際は上記の言い換えを参考に使用してください。
前述のまとめを踏まえて、以下の例文を見てください。
【例文:具体性について】
NG | 目玉となる物件は、【大きい】ショッピングモールから【非常に】【近い】です。 |
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OK | 目玉となる物件は、【2万㎡】にもなる大型ショッピングモールから【徒歩10分】の距離です。 |
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上記の例文ではOK例の方に客観性が感じられ、参考にしやすいことがわかります。
なお紹介した言葉以外にも、抽象表現は無数にあります。しかし、言い換えるときのポイントは共通です。できるかぎり数字や、分かりやすい比較対象を用いて表現してください。
簡単で短い文章は、ユーザーに伝わりやすいです。長く回りくどい文章は避けましょう。
長さの目安として、一文あたり60文字までにとどめることを意識してください。長すぎると情報が混じってしまい、かえって分かりにくくなります。
簡単な文章とは、難しい言葉を使っていないというだけではありません。回りくどくない、分かりやすいこともポイントです。おおげさな表現は可能な限り削除し、修飾語は最低限にしましょう。
特に気をつけたいポイントが、内容に対しクレームの予防線を張るような文章です。「例外はあるものの」「すべてではありませんが」など、レアケースに対して言及する文章は、何度も記載するとユーザーに不快感を与えます。ユーザーは答えを欲しがっているため、予防線ばかり張っていると結論を提供してもらえないと感じ、読むのを止めてしまうのです。
下記に例文を示します。
【例文:簡単で短い文章にする】
NG | すべての図書館にとは限りませんが一般的な図書館には、膨大な蔵書の中から自分の探し求める一冊を探し出すための、便利なシステムが備えつけられているものです。 |
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OK | 図書館には、たくさんの本の中から目的の本を探すシステムが設置されています。 |
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修飾語やレアケースに対する注意は、まったくなければそれで良いというものでもありません。使う際は多用しないことを意識し、ポイントを絞って使うのみにしてください。
Webサイトに載せる文章を書く際は、どの立場から誰に書いているのか意識しましょう。
自作のホームページのコンテンツを制作する場合、書き手の立場はサイトの管理者であり、事業を行う人です。情報を伝える先はユーザーであり、顧客になります。
上記を踏まえ、以下の例文を見てください。
【例文:視点をはっきりさせる】
NG | 当社の売りは実行力と【言えるでしょう】。今まで100を超える企業と取引が【行われ】、事業が沿革【されて】いきました。現在も、多くの仕事を【引き受けられ】ます。 |
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OK | 当社の売りは実行力です。今までに100を超える企業と取引を行い、事業を沿革してきました。現在も、多くの仕事を引き受けています。 |
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ホームページの管理者は、基本的に主体が自分であることを忘れてはいけません。顧客を目の前にして説明しているイメージを持ち、不必要な受け身言葉は避けましょう。
ホームページに記載する文章を書く際は、過剰な敬語を避けましょう。過度な敬語は文章を長くしてしまい、ユーザーにストレスを与えます。
対面で顧客の応対をする場合、顧客は目的だけでなく接客態度も見ています。そのため、きちんとした敬語が必要です。しかしWebサイトにおいて、顧客は相手(管理者)の敬語のできなど見ていません。目的は情報を得ることであり、丁寧な言葉遣いではないためです。
Webサイトにおける文章ではです・ます口調に統一し、それ以上丁寧な言葉遣いは不要だと考えて問題ありません。
下記の例文を見てください。
【例文:過剰な敬語を避ける】
NG | 本商品におきましては、オプションをいくつかご用意させていただいております。
ご不明点などございましたら上記の問い合わせフォームをお使いの上、おたずねくださいますようお願いいたします。 |
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OK | 本商品においては、オプションをいくつか用意しています。
不明点などありましたら、上記のフォームよりお問い合わせください。 |
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Webにおける敬語は、対面だとややそっけなく見えるかもしれません。しかしホームページを閲覧するユーザーは多忙であるため、ややそっけないくらいの敬語の方がストレスフリーに感じます。
同じ言葉を何度も繰り返し使用すると、ユーザーは不快感を感じます。
くどい印象を受けるだけでなく、文章そのものが稚拙な印象を与えてしまいます。場合によっては、推敲していないのではと思われかねません。
特に注意すべきであるのが、「しかし」「なので」「また」などの接続詞です。同じ接続詞を何度も繰り返していると、内容が掴みづらくなります。なお、まったく同様の言葉でなかったとしても、意味上同様であれば分かりにくくなるデメリットが発生します。
以下の例文を見てください。
【例文①:同じ言葉の繰り返しを避ける】
NG | 今日の予定は買い物【だが】、買い物には車で行こうと思う【が】、買い物にあたってスケジュールに問題がある。
【しかし】買い物のためには、なんとかしなくてはならない。 |
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OK | 今日の予定は買い物だ。車で向かおうと思っている。スケジュール的に問題もあるが、何とかしなくてはならない。 |
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OK例では買い物の話題を続けつつも、買い物という単語を必要以上に出さず省略しています。
ユーザーが分かっている情報は、削除した方がすっきりします。書いた方が丁寧であるという考え方は止め、できるだけ不要な言葉を省きましょう。
また、繰り返す必要がある場合は言い回しを変化させるのも効果的です。
下記の例文を見てください。
【例文②:同じ言葉の繰り返しを避ける】
NG | 我が社は印刷事業を行います。ポスターやチラシの印刷も行いますし、物に対する印刷も行います。印刷だけでなく、デザインも行います。 |
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OK | 我が社は印刷事業を営んでいます。ポスターやチラシのような紙媒体だけでなく、服や靴など物に対する印刷も引き受けます。また、デザイン段階からの業務も請け負います。 |
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上記のOK例で使われる「営む」「引き受ける」「請け負う」は、大きく言うとすべて「行う」という意味です。しかし行うという言葉ばかり使わず、別の言い回しを使用してくどい印象を消しています。
句読点の位置や量が不適切な文章は、ユーザーにストレスを与えるだけでなく、読み間違いの原因にもなります。
特に注意すべきであるのは、修飾語の意味が変化してしまうケースです。以下の例文を読んでください。
【例文①:句読点の位置】
A:久しぶりに、友達と話せて嬉しかった。
文意:久しぶりであるのは、嬉しい思いをしたこと。「友達と話せて」の部分は理由説明の付け加え。
B:久しぶりに友達と話せて、嬉しかった。
文意:久しぶりであるのは、友達と話せたこと。「嬉しかった」の部分は感想の付け加え。
上記のように句読点の位置によって、もっとも伝えたい部分が変わってしまいます。漫然と句読点を入れるのは止め、書きたいことを意識しましょう。
また句読点は、多すぎても少なすぎてもユーザーのストレスです。以下の例文を見てください。
【例文②:句読点の量】
A:今日は一度支社に寄って資料を揃えてから本社に出社しプレゼンの後会議の予定である。
→句読点を打っていないため、文章にリズムが生まれず読みにくい
B:今日は、一度支社に寄って、資料を、揃えてから、本社に、出社し、プレゼンの後、会議の予定である。
→句読点を過剰に入れすぎており、文章のリズムがガタガタである。
C:今日は一度支社に寄って、資料を揃えてから本社に出社し、プレゼンの後会議の予定である。
→句読点の量が適切であり、読みやすい。
上記はやや極端な例ですが、句読点をおろそかにしていると、実際にNG例に似た文章になってしまうケースがあります。
もしも適切な量がわかりにくい場合は、声に出して読んでみてください。適切な句読点は、適切な息継ぎに繋がります。句読点が少なすぎると息が苦しくなり、多すぎると息継ぎばかりになってストレスを感じるでしょう。
上記のポイント解説でたびたび触れていますが、文章はできるだけ短くしましょう。不要な部分を削ぎ落し、必要な部分だけ残すことは、いつも念頭に入れておくべき重要なことです。
文章の長さは、以下のような印象の違いを生み出します。
【文章の長さとユーザーの受け取り方】
文章の長さ | ユーザーの印象 |
文章が不要に長い場合 |
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文章が適切な長さである場合 |
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しかし一方で気をつけるべきは、短くしようと意識するあまり必要な部分まで削除してしまうことです。短くした挙句に情報が上手く伝達できなくなってしまえば、本末転倒です。削るべき点と書いておくべき点を考慮した上で、文章を組み立てましょう。
漢字はやや少なめにしておく必要があります。漢字が多すぎるとユーザーは難しそうという印象を受け、よりわかりやすいサイトへ移動してしまう可能性が高いためです。
特に手書きでなくデバイスを利用している場合は、変換ボタンを押せば漢字が自動的にでてきます。しかし変換機能に任せ、漢字で書ける言葉をすべて漢字にしていると、ユーザーにとっては漢字の多すぎる文章になってしまいます。そのため部分的に、あえてひらがなのままにしておくことが重要です。
ひらがなにすべき言い回しの一例を、以下にまとめます。
【ひらがなにすべき言い回し】
漢字 | ひらがな | 漢字 | ひらがな |
事 | こと | 筈 | はず |
物 | もの | 達 | たち |
時 | とき | 全て | すべて |
所 | ところ | 様々 | さまざま |
位 | くらい | 因みに | ちなみに |
為 | ため | 下さい | ください |
等 | など | ~と言う | ~という |
程 | ほど | 居る | いる |
上記の例は一部であり、ひらがなにすべき言葉は他にも無数にあります。上記がすべてと思わず、調べて覚えることが大切です。
また、他人の文章を読むのも参考になります。よそのホームページや雑誌など、とっつきやすいと思った文章を読んで、どの漢字がひらがなになっているか確認してみましょう。
意外と知らない!?WEBライターの納品方法と6つのポイント|日本デザイン
どうしても自分で書けないと判断した際は、Web制作会社に依頼しましょう。サイト作りのプロが、ユーザーに伝わりやすい文章でホームページを構築してくれます。
一般的に文章は、大人であれば自分で書くことができます。しかしただ書くのではなく、ポイントを踏まえてまとめるには練習が必要です。忙しくて、そんな時間をかけられないという人も少なくありません。
Web制作会社に依頼するとコストはかかります。しかし文章のみならず、デザインやページのレイアウトなど、細部までマーケティングを踏まえて制作してくれます。自力で仕上げる自信がない場合は、外注を考えてみてください。
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