障害のある方が「自分に合った働き方を見つけたい」と考えたとき、選択肢は一つではありません。一般企業への就職からフリーランス、福祉的就労まで、働き方の幅は年々広がっています。
本記事では障害者の代表的な働き方7パターンをメリット・注意点とともに整理し、自分プレビュー (新しいタブで開く)に合った働き方の見つけ方、活用できる公的支援機関、さらに転職エージェントの活用法まで網羅的に解説します。就職活動中の方はもちろん、今の働き方を見直したい方もぜひ参考にしてください。
Contents
障害者雇用の現状を知る|雇用者数と法定雇用率の推移
障害者の雇用環境は年々改善が進んでいます。まずは統計データから、いまどれだけの障害者が企業で働いているのか、企業に課される雇用義務はどう変わっているのかを確認しましょう。
民間企業における障害者の雇用状況
厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業で働く障害者数は約67万7,000人で、21年連続の過去最高を更新しました。実雇用率は2.41%です。
障害種別では精神障害者の伸びが前年比15.7%増と最も大きく、雇用の裾野が広がっていることが分かります。
参照:厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」
法定雇用率とは?2024年以降の引き上げスケジュール
法定雇用率とは、企業が従業員に対して一定割合以上の障害者を雇用する義務を定めた制度です。2024年4月に2.5%へ引き上げられ、2026年7月にはさらに2.7%となることが決定しています。
対象企業も従業員37.5人以上へ拡大されるため、障害者にとっては就職先の選択肢がさらに広がる見込みです。
障害者の働き方7つのパターンを比較
障害者の働き方は大きく7つに分けられます。雇用形態や給与水準、配慮の度合いがそれぞれ異なるため、自分の障害特性や生活状況と照らし合わせて検討することが重要です。
一般枠での就職(クローズ就労)|障害を伝えずに働く
障害を開示せず、一般の求人枠で就職する方法です。職種や業界の選択肢が広く、給与水準も一般社員と同等になりやすい点が特徴です。障害者手帳を持っていても利用でき、実際にクローズ就労を選ぶ方は少なくありません。
一般枠で働く利点と注意点
キャリアアップの機会が多い反面、合理的配慮を受けにくく、体調管理を自力で行う必要があります。周囲に伝えていないことによる精神的負担にも注意が必要です。
障害者枠での就職(オープン就労)|配慮を受けながら働く
障害者手帳を活用し、障害者雇用枠で就職する方法です。企業が障害内容を把握しているため、業務量や勤務時間の調整など合理的配慮を受けやすい環境で働けます。
障害者枠で働く利点と注意点
通院や服薬への配慮が得やすく、職場の理解がある環境で安心して働けます。
ただし求人数は一般枠より限られ、給与が低めに設定されるケースもあります。任される業務の幅が狭いと感じる場合もあるため、面接時に業務内容やキャリアパスについてしっかり確認しましょう。
特例子会社での勤務|障害に特化した職場環境
特例子会社は、障害者の雇用促進を目的に親会社が設立する子会社です。令和6年時点で全国614社が認定され、約5万人が就業しています。バリアフリー設備や支援スタッフの配置が充実しています。
特例子会社で働く利点と注意点
障害への理解が深い環境で、同じ立場の仲間と働ける安心感があります。一方、業務範囲が限定されがちな点や、親会社への異動・昇進の機会が少ない点は考慮しておきましょう。
就労継続支援A型|雇用契約を結んで訓練を受ける
就労継続支援A型事業所は、雇用契約を結びながら働く福祉サービスです。最低賃金が保障され、支援員のサポートを受けながらスキルアップを目指せます。
A型事業所の利点と注意点
安定収入と社会保険加入というメリットがある一方、一般企業と比べると賃金水準は低めで、就労時間も短い傾向にあります。一般就労へのステップとして活用する方が多く、事業所によっては就職活動のサポートを行っているところもあります。
利用を検討する際は、お住まいの市区町村の福祉窓口に相談してみてください。
就労継続支援B型|自分のペースで作業に取り組む
就労継続支援B型は、雇用契約を結ばず自分のペースで作業に参加する福祉サービスです。体調に波がある方や、長時間勤務が難しい方でも無理なく利用できます。軽作業や手工芸、農作業など、事業所によって取り組める作業内容はさまざまです。
B型事業所の利点と注意点
出勤日数や作業時間を柔軟に調整できる反面、工賃は月額数千円〜数万円程度にとどまることが多いです。生活費を賄うには、障害年金などの制度と併用する必要がある場合があります。
フリーランス・個人事業主|場所や時間に縛られない働き方
ライティングやデザイン、プログラミングなどのスキルを活かし、クラウドソーシング等を通じて個人で仕事を受ける働き方です。自宅で自分のペースに合わせて仕事量を調整でき、得意分野に集中して取り組める点が大きな魅力です。
フリーランスの利点と注意点
通勤不要で体調に合わせた働き方ができますが、収入が不安定になりやすく、営業・経理・契約管理を自分で担う必要があります。社会保険も自己負担となるため、事前の資金計画が大切です。
在宅ワーク・リモート勤務|通勤負担を減らして働く
企業に雇用されながら自宅で業務を行う働き方です。コロナ禍以降、障害者向けのリモート求人も増加傾向にあり、通勤の身体的・精神的負担を大幅に軽減できます。事務職やIT関連職を中心に、完全在宅で働ける求人も見られるようになりました。
在宅ワークの利点と注意点
慣れた環境で集中して働ける一方、オンラインコミュニケーションへの適応力と自己管理能力が求められます。孤立感を防ぐため、上司や同僚との定期的な連絡を心がけましょう。
自分に合った働き方を見つける3つのステップ
多くの選択肢があるからこそ、自分自身を客観的に理解し、優先順位を明確にすることが大切です。「なんとなく」で選ぶとミスマッチが起きやすくなります。以下の3ステップで、自分に合った働き方を絞り込んでいきましょう。
ステップ1|自分の障害特性と体調の波を把握する
疲れやすい時間帯、集中が続く時間の長さ、苦手な環境(騒音・照明など)を具体的に書き出しましょう。主治医や支援者と一緒に整理することで、より正確な自己理解につながります。
障害者手帳の診断内容だけでなく、日常生活で実際に感じている困難さを自分の言葉で表現できるようにしておくと、就職活動全体がスムーズに進みます。
ステップ2|職場で起きやすい困りごとと対処法を整理する
過去の経験から、困った場面とその対処法を一覧にまとめておきましょう。このリストは就職活動で企業に配慮事項を伝える際の土台になり、面接でも活用できます。
ステップ3|譲れない条件と優先順位を明確にする
勤務時間・通勤距離・給与水準・職場環境など、自分にとって外せない条件を書き出し、優先順位をつけましょう。す
べてを満たす職場を見つけるのは難しいため、「絶対に譲れない条件」と「あれば嬉しい条件」を分けておくことが大切です。希望条件を整理しておくと、支援者やエージェントへの相談もスムーズに進みます。
障害者の仕事探しに使える相談先・支援機関一覧
方向性が決まったら、具体的な就職活動です。障害者の就職を支える公的な支援機関は複数あり、それぞれ得意分野が異なります。一つの機関だけに頼るのではなく、自分の状況に合った機関を組み合わせて活用しましょう。
就労移行支援事業所|就職に向けたトレーニングを受ける
一般企業への就職を目指す障害者を対象に、ビジネスマナーやPCスキル、コミュニケーション訓練を最長2年間提供する福祉サービスです。就職後の定着支援も受けられ、多くの方が自己負担なしで利用しています。
事業所ごとにプログラム内容や得意とする障害種別が異なるため、見学や体験を通じて自分に合う事業所を選ぶことをおすすめします。
ハローワークの障害者専門窓口を活用する
全国のハローワークには障害者専門の相談窓口があり、求人紹介から応募書類の添削、面接対策まで無料でサポートを受けられます。障害者向け合同面接会や就職面接会の情報も得られるため、最初の相談先として活用しやすい機関です。
お住まいの地域を管轄するハローワークに足を運んでみましょう。
障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)に相談する
就労面と生活面の両方から障害者を支える機関です。仕事の悩みだけでなく、金銭管理や健康管理などの日常生活の困りごとにも対応してくれます。就職前の相談から就職活動中の支援、就職後の職場定着まで一貫したフォローを受けられるのが強みです。
地域障害者職業センターでリハビリテーションを受ける
各都道府県に設置された専門機関で、職業評価・職業準備支援・ジョブコーチ支援など、専門的な職業リハビリテーションを受けられます。自分の適性や能力を客観的に把握したい方、復職に不安がある方に適しており、個別の支援計画を作成してもらえます。
地域若者サポートステーション(サポステ)を利用する
15〜49歳の就労に悩む方を対象とした支援機関です。障害者専門ではありませんが、コミュニケーション訓練や職場体験を通じて、働くことへの不安を段階的に解消できます。手帳をお持ちでない方も利用可能です。
転職エージェントを活用して働き方の選択肢を広げる
公的機関に加え、民間の転職エージェントを併用するとより幅広い求人にアクセスできます。とくに障害者雇用に特化したエージェントは、独自の非公開求人や条件交渉力を持っており、自分一人では出会えない企業との接点を作ってくれます。
無料で利用できるため、積極的に活用しましょう。
障害者向け転職エージェントとは?利用の流れ
障害者手帳を持つ方の転職・就職を専門にサポートするサービスです。具体的には、「dodaチャレンジ(求人が幅広い)」「atGP(定番エージェント)」「障害者雇用バンク(20代・30代に強み)」「LITALICO仕事ナビ(求人豊富な定番サービス)」「マイナビパートナーズ紹介(定着支援も提供)」などの転職エージェントがあり、1人ひとりに合わせたサポートを提供しています。
登録→キャリアアドバイザーとの面談→求人紹介→応募・面接→内定が一般的な流れとなります。
費用は企業側が成功報酬として負担する仕組みのため、求職者は無料で利用できます。オンライン面談に対応しているエージェントも多く、自宅から気軽に相談を始められます。
転職エージェントを使うメリット|非公開求人・条件交渉・定着支援
最大の強みは、一般には公開されていない非公開求人に出会えることです。給与や配慮事項の交渉を代行してもらえるほか、応募書類の作成支援や面接対策といったきめ細かなサポートも受けられます。入社後のフォローアップを行うエージェントも多く、職場定着の面でも安心です。
エージェント選びで確認したい3つのポイント
確認すべきは、障害者雇用の求人数と実績、自分の障害種別への支援経験、そして入社後の定着支援体制の3点です。
大手エージェントは求人数が豊富で、特定の障害種別に強い中小エージェントはきめ細かなサポートが期待できます。複数のエージェントに登録し、相性の良いアドバイザーを見つけることが成功への近道です。
障害のある方向けの転職サービスについては、以下の記事が参考になります。
まとめ|障害者の働き方を理解し、自分に合った一歩を踏み出そう
本記事では、障害者の働き方7パターンを中心に、雇用の現状や自分に合った働き方の見つけ方、活用できる支援機関、転職エージェントの使い方を紹介しました。クローズ就労からオープン就労、特例子会社、就労継続支援、フリーランス、在宅ワークまで、それぞれ異なる特徴があります。
大切なのは、自分の障害特性を正しく理解し、優先条件を明確にしたうえで、公的支援やエージェントの力を借りながら動き出すことです。完璧な職場をいきなり見つける必要はありません。まずは情報収集と相談から始めてみてください。



