「40代で精神障害者手帳3級を持っているけれど、本当に就職できるのだろうか」と不安を抱えていませんか。厚生労働省の調査によると、ハローワークを通じた障害者の就職件数は40〜49歳が最も多く、40代はむしろ就職実績の高い年代です。

本記事では、40代で精神障害者手帳3級を持つ方が障害者雇用枠を活用して就職を成功させるための具体的な方法やポイントを、公的データに基づきながら解説します。

参照:厚生労働省「障害種別、年齢別のハローワークにおける雇用状況について

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40代×精神障害者手帳3級でも就職をあきらめなくていい理由

40代で精神障害がある場合、年齢と障害の二重のハードルを感じやすいものです。しかし、法定雇用率の引き上げや企業の受け入れ体制の整備が進んだことで、40代の障害者にも就職のチャンスは広がっています。ここでは、前向きに就職活動を進められる理由を紹介します。

障害者雇用枠を使えば年齢のハンデを軽減できる

障害者雇用促進法により、民間企業には従業員の2.5%以上の障害者を雇う義務があります。令和6年の集計では、民間企業の雇用障害者数は約67万7千人と過去最高を更新しました。

障害者雇用枠は一般枠より競争率が低い傾向にあるため、40代でも選考に進みやすいのが大きな利点です。

参照:厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果

企業の合理的配慮により自分に合った働き方が見つかりやすい

障害者雇用枠で入社すると、企業は法律に基づき合理的配慮を提供する義務があります。たとえば通院のための勤務時間調整や、業務量の配慮などが挙げられます。自身の障害を開示した状態で働けるため、無理をして体調を崩すリスクを軽減でき、40代で体力面に不安がある方にも安心です。

40代のビジネス経験や社会人スキルはむしろ武器になる

40代には、長年培ってきたビジネスマナーや対人スキル、業界知識があります。障害者雇用枠であっても、即戦力として期待される場面は少なくありません。とくに事務経験やPCスキルを持つ方は需要が高く、20〜30代の求職者にはない強みとしてアピールできます。

就労移行支援や定着サポートなど公的支援が充実している

就労移行支援事業所では、ビジネススキルの訓練から面接対策まで一貫したサポートを受けられます。利用対象は18歳以上65歳未満のため、40代でも問題なく活用可能です。就職後には職場定着支援も利用でき、入社後の不安を軽減しながら長く働ける環境が整っています。

公務員や大手企業にも障害者枠のチャンスがある

国や地方自治体にも法定雇用率が設定されており、障害者枠の公務員採用試験が実施されています。また、従業員数が多い大手企業ほど採用すべき障害者の人数が増えるため、障害者枠の求人を積極的に出しています。40代であっても、安定した雇用先に出会える可能性は十分にあります。

知っておきたいデメリット・注意点

障害者雇用枠にはメリットが多い一方で、知っておくべき課題も存在します。事前にデメリットを理解しておくことで、就職後のギャップを防ぐことができます。

職種や業種の選択肢が狭まるケースがある

障害者雇用枠の求人は、事務職や軽作業など特定の職種に偏りがちです。令和5年度障害者雇用実態調査によると、精神障害者の職業別雇用割合は事務的職業が29.2%で最も多くなっています。

これまでの専門スキルを活かしたいと考えていても、希望の職種が見つかりにくい場合があります。

参照:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書

一般枠と比べて賃金水準が低くなりやすい

同調査によると、精神障害者の1か月の平均賃金は約14万9千円です。一般労働者の平均と比較すると低い水準にありますが、これは短時間勤務の方が含まれていることも影響しています。フルタイム(週30時間以上)勤務の場合は約19万3千円となり、勤務時間によって収入は大きく変わります。

40代は求人数そのものが減る傾向にある

障害者雇用枠には法律上の年齢制限はありませんが、企業が長期雇用を前提に若年層を優先するケースがあるのも実態です。40代は20〜30代と比べて書類選考の通過率がやや下がる傾向にあるため、応募する求人数を増やしたり、転職エージェントを併用するなどの対策が求められます。

40代が精神障害者手帳3級で就職を成功させる5つのポイント

40代で就職活動を成功に導くためには、体調管理と戦略的な準備の両方が欠かせません。以下の5つのポイントを意識して進めましょう。

体調管理を最優先にした就活スケジュールを組む

就職活動は想像以上に体力と精神力を消耗します。面接や書類作成のペースを詰め込みすぎず、通院日や休息日を確保したスケジュールを組みましょう。主治医とも相談しながら、無理のない就活期間を設定することが、結果的に早い就職につながります。

これまでの職歴・スキルを棚卸しして強みを整理する

40代の最大の武器は「経験」です。これまでの職歴を時系列で振り返り、業務で身につけたスキルや成果をリストアップしましょう。たとえばExcelでの集計業務や電話対応経験など、具体的に伝えられるスキルがあると選考で有利に働きます。

入社後に困ったら遠慮なく職場の担当者や支援機関に相談する

障害者雇用枠で入社した場合、企業には障害者の相談窓口や担当者が配置されていることが多いです。職場での困りごとは一人で抱え込まず、早めに相談することが職場定着のカギになります。外部の就労定着支援事業所やジョブコーチを活用するのも有効です。

手帳の有効期限と更新手続きを把握しておく

精神障害者保健福祉手帳の有効期限は交付日から2年間で、期限が切れると障害者雇用枠での在職にも影響します。更新は有効期限の3か月前から申請できるため、スケジュール帳やスマートフォンのリマインダーに登録して忘れずに手続きしましょう。

障害者雇用に特化した転職エージェントをフル活用する

40代の障害者雇用では、非公開求人を多数保有する転職エージェントの活用が効果的です。書類添削や面接対策のサポートも受けられるため、自力で就活を進めるよりも効率的にマッチする求人と出会えます。

具体的には、「dodaチャレンジ(求人が幅広い)」「atGP(定番エージェント)」「障害者雇用バンク(20代・30代に強み)」「LITALICO仕事ナビ(求人豊富な定番サービス)」「マイナビパートナーズ紹介(定着支援も提供)」などの転職エージェントがあり、1人ひとりに合わせたサポートを提供しています。

複数のエージェントに登録して、紹介される求人数を増やすのがおすすめです。

そもそも精神障害者手帳3級とは?取得の条件・手順・受けられる支援

障害者雇用枠で就職するには、精神障害者保健福祉手帳の取得が前提となります。ここでは3級の認定基準や取得方法、手帳を持つことで受けられる支援を説明します。

3級の認定基準と1級・2級との違い

精神障害者保健福祉手帳は障害の程度に応じて1〜3級に区分されます。3級は「日常生活や社会生活に一定の制限を受けるが、おおむね自力で生活できる程度」とされており、最も軽度の等級です。

申請に必要な書類と手続きの流れ

手帳の申請には、お住まいの市区町村の障害福祉課窓口で行います。必要書類は主に「申請書」「医師の診断書(初診日から6か月以上経過していること)」「顔写真」です。障害年金を受給している場合は、年金証書の写しで診断書を省略できる場合もあります。

申請から交付までは約2か月かかるため、就職活動を見据えて早めの準備が重要です。

手帳3級で利用できる福祉サービス・税制優遇

3級でも所得税・住民税の障害者控除(27万円)を受けられるほか、自治体によっては公共交通機関の運賃割引や、携帯電話料金の割引が適用されます。また、障害者総合支援法に基づく就労移行支援や就労定着支援は等級に関係なく利用可能です。

ただし、NHK受信料の減免や重度障害者向けの手当など、1級限定のサービスがある点には留意が必要です。

障害者雇用枠で就職するまでの4つのステップ

実際に障害者雇用枠で就職するまでの流れを4つのステップに分けて紹介します。全体像を把握したうえで、一つずつ進めていきましょう。

ステップ1|精神障害者手帳3級を取得する

障害者雇用枠に応募するには手帳の所持が必要です。まずは主治医に相談し、手帳取得に必要な診断書を作成してもらいましょう。申請窓口はお住まいの市区町村の障害福祉課です。診断書の作成費用(自費・数千円程度)がかかる点も事前に確認しておくと安心です。

ステップ2|就労移行支援事業所や地域の職業センターで準備する

手帳の申請と並行して、就労に向けた準備を進めましょう。就労移行支援事業所では、パソコン訓練やコミュニケーション練習、模擬面接など実践的なプログラムを受けられます。地域障害者職業センターでは、職業評価を通じて自分に合った働き方や職種を客観的に確認できます。

ステップ3|障害者雇用枠の求人に応募する

求人はハローワークの障害者専門窓口のほか、障害者向け転職エージェントや求人サイトで探すことができます。40代の場合は、応募先を絞りすぎず幅広い業界・職種にチャレンジするのがポイントです。

書類選考が通りにくいと感じたら、エージェントに履歴書の改善点をフィードバックしてもらいましょう。

ステップ4|入社後は職場定着支援を活用して長く働く

就職して終わりではなく、定着してこそ成功です。入社後6か月間は就労定着支援を利用でき、支援員が企業との間に入って困りごとの調整をしてくれます。令和5年度障害者雇用実態調査によると、精神障害者の平均勤続年数は5年3か月です。

定着支援を受けることで、長く安定して働ける可能性が高まります。

参照:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します

40代の精神障害者手帳3級保有者におすすめの転職エージェント4選

40代の障害者雇用は、専門のエージェントと二人三脚で進めるのが効率的です。ここでは、精神障害者の就職支援に強い4つのサービスを紹介します。

LITALICO仕事ナビ

全国の就労移行支援事業所や障害者向け求人を幅広く掲載しているプラットフォームです。事業所の口コミや体験談も充実しているため、初めて就労支援を利用する40代の方でも、自分に合った支援先を比較検討しやすいのが特徴です。

dodaチャレンジ

大手人材会社パーソルグループが運営する障害者専門の転職支援サービスです。キャリアアドバイザーが一人ひとりの障害特性や希望条件をヒアリングしたうえで求人を紹介するため、40代のキャリアを活かしたマッチングに期待できます。非公開求人も多く保有しています。

ランスタッド チャレンジド

世界最大級の人材サービス企業ランスタッドが展開する障害者向け転職支援です。身体障害・精神障害の方を対象に、正社員やフルタイム求人を中心に紹介しています。年収300万円以上の転職実績もあり、40代で収入面を重視したい方に向いています。

障害者雇用バンク

ハローワークの求人に加え、エージェント独自の求人も取り扱っているため、求人数が豊富です。オンライン面談にも対応しているので、通院や体調に合わせて在宅で相談できるのが魅力です。就職後のフォローアップ体制もあり、定着まで見据えた支援を受けられます。

障害のある方向けの転職サービスについては、以下の記事が参考になります。

40代・精神障害者手帳3級の就職でよくある疑問Q&A

就職活動を始めるにあたって、多くの方が感じる疑問をQ&A形式でまとめました。

障害年金と就労は両立できる?

精神障害者手帳と障害年金は別制度のため、手帳3級でも障害年金を受給できるとは限りません。障害基礎年金には3級が存在せず、障害厚生年金のみ3級があります。

就労しながら受給することは制度上可能ですが、更新時の審査で就労状況が考慮される場合があるため、社会保険労務士や年金事務所への事前相談をおすすめします。

手帳を持っていることは職場に知られる?

障害者雇用枠で入社する場合、人事担当者は障害の内容を把握していますが、すべての同僚に伝わるとは限りません。どこまで開示するかは企業と相談して決められるケースが多いです。

一般枠で就職した場合、手帳の所持を会社に報告する義務はなく、プライバシーは法的に保護されています。

精神障害者手帳3級を申請して落ちたらどうする?

審査の結果、等級に該当しないと判断されて不交付となる場合があります。不服がある場合は、都道府県知事に対して審査請求を行うことが可能です。また、主治医と改めて症状を共有したうえで、一定期間をおいて再申請するという方法もあります。

40代から未経験の職種にチャレンジできる?

未経験職種への挑戦は20〜30代と比べるとハードルは上がりますが、不可能ではありません。就労移行支援事業所でPCスキルや事務スキルを習得すれば、事務職など未経験からでも採用されやすい職種に応募できます。職業訓練を利用して資格を取得するのも効果的です。

まとめ|40代・精神障害者手帳3級でも正しい準備と支援で就職は十分可能

40代で精神障害者手帳3級を持っていても、障害者雇用枠を活用すれば就職のチャンスは十分にあります。法定雇用率の引き上げを背景に企業の採用意欲は高まっており、精神障害者の雇用数は前年比15.7%増と右肩上がりです。

大切なのは、体調管理を第一にしながら、就労移行支援や転職エージェントといった専門的なサポートを積極的に活用すること。一人で抱え込まず、支援を味方につけて、自分に合った働き方を見つけていきましょう。