ADHDの方の中には「仕事が続かない」「また辞めてしまった」とお悩みの方はいらっしゃいませんか?特性により、職場で困難を抱える方は少なくありません。しかし、原因を理解し適切な対策を取ることで、長く安心して働ける環境を見つけることは可能です。
本記事では、ADHDで仕事が続かない理由と具体的な解決策を詳しく解説します。ADHDで長く働き続けたいと考えている方は参考にしてみてください。
Contents
ADHDとは何か?基礎知識を理解しよう
ADHDは注意欠如・多動症とも呼ばれる発達障害の一つです。集中力の維持が難しい、衝動的に行動してしまう、じっとしていられないといった特性があります。
子どもの頃に診断されるケースが多いですが、大人になってから気づく方も増えています。適切な理解とサポートがあれば、特性を活かして活躍することも十分可能です。
ADHDの3つのタイプと主な特徴
ADHDには「不注意優勢型」「多動・衝動優勢型」「混合型」の3タイプがあります。不注意優勢型は集中力の維持やケアレスミスが多く、多動・衝動優勢型は落ち着きがなく衝動的な行動が目立ちます。混合型は両方の特性を併せ持つタイプです。
自分がどのタイプに当てはまるかを知ることで、適切な対策を立てやすくなります。
大人のADHDが見逃されやすい理由
子どもの頃は「落ち着きがない子」で済まされることが多く、診断を受けないまま大人になるケースが多くあります。社会人になって初めて「仕事でのミスが多い」「締め切りが守れない」といった問題が顕在化し、ADHDだと気づく方も少なくありません。大人のADHDは見過ごされやすいため、自分から積極的に情報を集めることが大切です。
ADHDは仕事にどのような影響を与えるのか
ADHDの特性は職場でさまざまな影響を与えます。
書類の記入ミス、約束の時間を忘れる、複数の業務を同時にこなせないなど、日常業務で困難が生じやすくなります。また、上司や同僚から「やる気がない」「いい加減だ」と誤解されることもあり、人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
ADHDの人が職場で抱えやすい5つの困りごと
ADHDの特性により、一般的な職場環境では様々な課題に直面します。ここでは、多くのADHDの方が共通して抱える5つの困りごとについて詳しく見ていきましょう。
- 集中力が続かず、ミスが多くなる
- 時間管理やスケジュール調整が苦手
- 優先順位をつけるのが難しい
- 対人関係でトラブルが起こりやすい
- マルチタスクに対応できない
これらを理解することで、自分に合った働き方や職場選びのヒントが見えてきます。
集中力が続かず、ミスが多くなる
ADHDの方は注意を持続することが難しく、作業中に別のことに気を取られてしまいがちです。その結果、入力ミスや確認漏れが頻発し、何度も同じミスを繰り返してしまうこともあります。特に単調な作業や細かいチェック作業では、この傾向が顕著に表れます。
周囲から「注意力が足りない」と指摘されることも多く、自信を失う原因にもなります。
時間管理やスケジュール調整が苦手
時間の感覚が掴みにくく、作業にどれくらい時間がかかるかの見積もりが甘くなりがちです。締め切りに間に合わない、約束の時間に遅刻する、優先度の低い作業に時間をかけすぎるといった問題が起こります。
手帳やカレンダーを使っても管理しきれず、スケジュールが破綻してしまうことも少なくありません。
優先順位をつけるのが難しい
複数のタスクがあると、どれから手をつけるべきか判断できずに立ち往生してしまいます。
目の前にある簡単な作業から始めてしまい、重要な業務が後回しになることもあります。また、興味のある作業に没頭してしまい、本来やるべきことが進まないという問題も発生します。
結果として、重要な仕事の締め切りを守れなくなります。
対人関係でトラブルが起こりやすい
衝動的に発言してしまったり、相手の話を最後まで聞かずに遮ってしまったりすることがあります。また、約束を忘れたり時間を守れなかったりすることで、信頼関係が損なわれることもあります。
空気を読むことが苦手で、場にそぐわない行動を取ってしまい、孤立してしまうケースも見られます。
マルチタスクに対応できない
複数の業務を同時進行させることが非常に困難です。電話対応しながらメモを取る、会議の議事録を取りながら内容を理解するといった、2つ以上のことを並行して処理することが苦手です。
一つの作業に集中していると他のことが完全に抜け落ちてしまい、結果的に業務が滞ってしまいます。
なぜADHDだと仕事が長続きしないのか?5つの根本原因
ADHDの方が仕事を辞めてしまう背景には、いくつかの共通する原因があります。以下の原因が挙げられます。
- 自分の特性に合わない職種を選んでしまう
- 周囲の理解が得られず孤立してしまう
- 衝動性により突発的に退職を決めてしまう
- 職場環境や業務内容とのミスマッチ
- 適切なサポートを受けられていない
表面的な問題だけでなく、根本的な原因を理解することで、同じパターンを繰り返さないための対策が見えてきます。順に見ていきましょう。
自分の特性に合わない職種を選んでしまう
ADHDの特性を理解しないまま、一般的に「良い仕事」とされる職種を選んでしまうことがあります。例えば、細かい事務作業が中心の仕事や、厳格なルールに従う必要がある仕事は、ADHDの特性と相性が悪い場合が多いです。
自分の得意なこと・苦手なことを把握せずに就職すると、ミスマッチが起こりやすくなります。
周囲の理解が得られず孤立してしまう
職場でADHDについての理解がないと、「やる気がない」「怠けている」と誤解されてしまいます。特性による困難を「努力不足」と捉えられ、適切なサポートを受けられないまま孤立してしまうケースが多く見られます。
理解者がいない環境では、精神的な負担が大きくなり、退職を選択せざるを得なくなります。
衝動性により突発的に退職を決めてしまう
ADHDの特性である衝動性により、嫌なことがあると深く考えずに「もう辞める」と決断してしまうことがあります。一時的な感情で退職してしまい、後から後悔するパターンを繰り返してしまいます。
冷静に状況を判断する前に行動してしまうため、転職回数が増える原因にもなります。
職場環境や業務内容とのミスマッチ
オープンオフィスで騒がしい環境、頻繁に電話が鳴る職場、常に複数の業務を並行して進める必要がある仕事など、ADHDの特性と相性の悪い環境で働いていると、本来の能力を発揮できません。
環境が合わないことで過度なストレスを感じ、心身の不調につながり、結果として退職に至ります。
適切なサポートを受けられていない
医療機関での治療、職場での合理的配慮、就労支援サービスの活用など、利用できる支援制度があることを知らないまま一人で悩んでいる方が多くいます。
適切なサポートがあれば続けられた仕事も、支援を受けずに無理をした結果、体調を崩して辞めざるを得なくなるケースがあります。
ADHDの特性に合った仕事の選び方
仕事選びは、ADHDの方が長く働き続けるための最も重要なポイントです。具体的なポイントとしては以下の点が挙げられます。
- 自分の得意分野と苦手分野を把握する
- 働く環境の特徴をチェックする
- 業務内容の適性を見極める
自分の特性を理解し、それに合った環境や業務内容を選ぶことで、能力を最大限に発揮できます。順に見ていきましょう。
自分の得意分野と苦手分野を把握する
まずは自己分析を丁寧に行いましょう。集中力が続くのはどんな作業か、興味を持てる分野は何か、逆にどんな作業でミスが多いかを整理します。過去の仕事での成功体験と失敗体験を振り返ることで、自分の強みと弱みが明確になります。
この分析結果を元に、強みを活かせる仕事を選ぶことが成功への近道です。
働く環境の特徴をチェックする
静かで集中できる環境か、それとも適度に刺激がある環境か、自分に合った職場環境を見極めることが重要です。個室やパーティションで区切られたスペースがあるか、在宅勤務が可能か、フレックスタイム制度があるかなども確認しましょう。
また、上司や同僚とのコミュニケーションスタイルも、長く働く上で大切な要素です。
業務内容の適性を見極める
単調な繰り返し作業が多いのか、創造性が求められるのか、業務の性質を確認します。マルチタスクが必須なのか一つの業務に集中できるのか、締め切りの厳しさ、細かい確認作業の頻度なども重要なチェックポイントです。
求人情報だけでなく、面接時に具体的な業務内容を質問することをおすすめします。
ADHDの人に向いている仕事
ADHDの特性は、適した環境では大きな強みになります。ここでは、多くのADHDの方が活躍している職種を紹介します。以下の通りです。
- クリエイティブ系の仕事
- IT・プログラミング関連
- 営業・接客業
- その他おすすめの職種
1つずつ解説します。
クリエイティブ系の仕事
デザイナー、イラストレーター、動画編集者、ライターなど、創造性を活かせる仕事はADHDの方に向いています。興味のある分野に没頭できる「過集中」の特性が強みになり、独創的なアイデアを生み出せます。
自分のペースで作業できる環境が多いことも、ADHDの方にとってプラスです。フリーランスとして働く選択肢もあります。
IT・プログラミング関連
プログラマー、システムエンジニア、ウェブデザイナーなどのIT職も適性があります。論理的思考力と問題解決能力が求められる分野で、興味のある技術に深く没頭できます。
在宅勤務やフレックスタイム制度を導入している企業が多く、自分の集中できる時間帯に働けるメリットもあります。
営業・接客業
人と話すことが好きで、エネルギッシュに動けるADHDの方には営業職が向いています。多動性がプラスに働き、フットワークの軽さや行動力が評価されます。ただし、事務作業が少ない営業スタイルを選ぶことが重要です。
また、飲食店のホールスタッフや販売員など、適度に体を動かせる接客業も相性が良い場合があります。
その他おすすめの職種
カメラマン、調理師、美容師、配送ドライバー、トレーナー、イベントプランナーなども、ADHDの特性を活かせる仕事です。手を動かす作業や、変化に富んだ業務内容の仕事は、飽きずに取り組めます。
また、起業家や個人事業主として自分のビジネスを立ち上げることで、自分のペースで働けるようになり、成功している方もいます。
ADHDの人が避けたほうがよい仕事の特徴
自分に合った仕事を見つけるためには、避けるべき仕事の特徴も知っておくことが大切です。以下のような特徴を持つ仕事は、ADHDの方にとってストレスが大きくなりがちです。
- 細かい事務作業が中心の仕事
- 厳格なルールやマニュアルに縛られる仕事
- 長時間のデスクワークが求められる仕事
1つずつ見ていきましょう。
細かい事務作業が中心の仕事
データ入力、書類整理、経理事務など、正確性が求められる細かい作業が中心の仕事は不向きな傾向があります。ケアレスミスが起こりやすく、ダブルチェックなどの確認作業も苦手なため、ストレスが蓄積しやすくなります。
特に、繰り返しの多い単調な作業は、集中力を維持することが難しいです。
厳格なルールやマニュアルに縛られる仕事
細かいマニュアル通りに作業を進める必要がある仕事や、厳しいルールに従わなければならない職場は、ADHDの方にとって窮屈に感じられます。公務員の一部職種や、製造業のライン作業など、柔軟性が求められない環境では、特性が裏目に出やすくなります。
臨機応変な対応ができる職場のほうが力を発揮しやすいでしょう。
長時間のデスクワークが求められる仕事
一日中座って作業を続ける必要がある仕事は、多動性のあるADHDの方には特に辛いものです。体を動かす機会が少ないと、落ち着きのなさが増してストレスになります。また、長時間同じ姿勢を保つことが苦痛に感じられ、集中力も低下しやすくなります。
適度に動ける仕事を選ぶことをおすすめします。
仕事が続かない状況を改善する7つの対策
ADHDで仕事が続かないと悩んでいる方は、以下の対策を検討してみてください。
- 医療機関で診断・治療を受ける
- 職場に特性を開示して配慮を求める
- タスク管理ツールやアプリを活用する
- 就労支援サービスを利用する
- 障害者雇用制度を検討する
- 障害年金などの経済的支援を知る
- 転職エージェントの専門サポートを受ける
一つだけでなく、複数の対策を組み合わせることで、より効果的な改善が期待できます。
医療機関で診断・治療を受ける
まだADHDの診断を受けていない方は、精神科や心療内科を受診することをおすすめします。
正式な診断を受けることで、自分の特性を客観的に理解でき、適切な治療やサポートにつながります。薬物療法やカウンセリングにより、症状をコントロールしやすくなり、仕事での困りごとが軽減される可能性があります。
職場に特性を開示して配慮を求める
信頼できる上司や人事担当者にADHDであることを伝え、合理的配慮を依頼する方法もあります。静かな環境での作業、タスクの優先順位づけのサポート、定期的な面談などの配慮を受けられる可能性があります。
ただし、開示するかどうかは慎重に判断し、理解のある職場かどうかを見極めることが大切です。
タスク管理ツールやアプリを活用する
スマートフォンのリマインダー機能、タスク管理アプリ、カレンダーアプリなどのツールを活用しましょう。
視覚的にタスクを管理できるツールは、優先順位づけやスケジュール管理の助けになります。音声入力機能を使えば、思いついたことをすぐに記録でき、忘れ物や抜け漏れを防げます。
就労支援サービスを利用する
地域の就労移行支援事業所や、ハローワークの専門窓口を利用することで、ADHDの特性に配慮した就職支援を受けられます。ビジネススキルのトレーニング、面接対策、職場定着支援など、総合的なサポートが受けられます。
同じ悩みを持つ仲間と出会える場でもあり、孤独感の軽減にもつながります。
障害者雇用制度を検討する
障害者手帳を取得すれば、障害者雇用枠で就職できます。
企業側にADHDであることが前提で伝わっているため、最初から配慮を受けやすい環境で働けます。勤務時間の調整や業務内容の配慮など、一般雇用よりも柔軟な働き方が可能になるケースが多いです。
障害年金などの経済的支援を知る
ADHDの症状が重く、日常生活や就労に著しい困難がある場合は、障害年金の受給資格があるかもしれません。経済的な不安が軽減されることで、焦らず自分に合った仕事を探せるようになります。
その他にも、自立支援医療制度など、利用できる支援制度がないか確認してみましょう。
転職エージェントの専門サポートを受ける
ADHDの特性を理解した転職エージェントを利用することで、自分に合った求人を効率的に見つけられます。
キャリアカウンセリングを通じて、強みを活かせる職種や企業を提案してもらえます。面接対策や履歴書の書き方など、転職活動全般のサポートも受けられるため、一人で悩まずに済みます。
ADHDに理解のある転職エージェントの選び方
転職を考えている方は、ADHDへの理解があるエージェントを選ぶことが成功の鍵となります。専門的なサポートを受けることで、ミスマッチを減らし、長く働ける職場に出会える可能性が高まります。
転職エージェントは、障害者雇用専門型と一般雇用向けとがあります。エージェント利用時に伝えることも合わせて、順に見ていきましょう。
障害者雇用専門のエージェントを活用するメリット
障害者雇用に特化したエージェントは、ADHDの特性を深く理解しており、配慮のある企業とのマッチングが得意です。
具体的には、「dodaチャレンジ」「atGP」「障害者雇用バンク」などの転職エージェントがあり、1人ひとりに合わせたサポートを提供しています。dodaチャレンジはハイクラスもふくめた幅広い求人を保有、atGPは転職サイト・転職エージェント両方の使い方が可能でスカウトあり、障害者雇用バンクは20代・30代の求人に強みがある点がそれぞれ特徴です。
以下の記事では、障害者特化型の転職エージェントについてサービスごとに解説しています。
dodaチャレンジ/atGP/障害者雇用バンク/ランスタッドチャレンジド/LITALICO仕事ナビ
企業側も障害への理解があることが前提なので、入社後のトラブルが少なくなります。また、定着支援も手厚く、就職後も継続的にサポートを受けられる点が大きなメリットです。求人数は一般雇用より少ない傾向がありますが、質の高いマッチングが期待できます。
ADHDなど障害のある方向けの転職サービスについては、以下の記事が参考になります。
- 「ADHDの方におすすめの転職エージェント17選!オープン向け、クローズもOKの両方をご紹介」
- 「発達障害者向けおすすめ転職エージェント12+3選!オープン・クローズ・グレーゾーンすべて解説」
- 「障害者向けおすすめ転職エージェント12選!条件別のおすすめもご紹介」
一般雇用でもADHD特性に配慮してくれるエージェント
近年では、一般雇用の転職エージェントの中にも、発達障害への理解を深めているところが増えています。大手エージェントの中には、専門のカウンセラーを配置しているところもあります。
一般雇用を希望する場合は、初回面談で自分の特性について相談し、理解を示してくれるかどうかを確認しましょう。柔軟な働き方ができる企業や、ADHDの特性が強みになる職種を積極的に提案してくれるエージェントを選ぶことが重要です。
転職エージェント利用時に伝えるべきこと
エージェントとの面談では、自分の得意なこと・苦手なことを具体的に伝えましょう。過去の仕事でうまくいった経験、困難だった状況、ADHDの診断を受けているかどうかなども共有します。
希望する働き方(在宅勤務、フレックスタイム制など)や、避けたい業務内容も明確に伝えることで、よりマッチした求人を紹介してもらえます。信頼関係を築くことで、長期的なキャリアサポートが受けられます。
まとめ:自分に合った働き方を見つけて長く働こう
ADHDで仕事が続かないのは、決してあなたの努力不足ではありません。特性に合わない環境や仕事を選んでいたり、適切なサポートを受けられていなかったりすることが原因です。自分の特性を理解し、強みを活かせる仕事を選び、必要な支援を受けることで、長く安心して働くことは十分に可能です。
医療機関での治療、就労支援サービスの活用、転職エージェントの専門サポートなど、利用できる資源はたくさんあります。一人で抱え込まず、周囲の力を借りながら、自分らしく働ける場所を見つけていきましょう。焦らず、自分のペースで進むことが大切です。




